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第1回 忘れてはいけない!DXのサポーターである管理部門

DXにおける管理部門の問題点とは?

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進チームは、マーケティングや販売部門の人が主で、まれに物流部門もでてくるものの、あまり見かけないのが管理部門です。
 管理部門はDXとは関係が薄いと感じている人も多いと思いますが、本当にそれでいいのでしょうか?

 管理部門の役割は、人事=人、財務=お金、総務=他部門で扱われない役割全般、と書いて眺めてみるとDXに必要そうなものばかりです。

 一方で、管理部門のDXに対しての役割を、管理部門外にヒアリングすると、そもそも管理部門に対して考えたこともなかったという声からはじまり
「本業に差し障る依頼をかけてきて困る 」
「融通がきかないし、新しいことをしようとすると妨害される」
「危機感がなく、ビジネスに関心がなく、管理部門はデジタル化がもっとも進んでいない」と不穏な話が多くでてきます。

 一方で、管理部門にも言い分があります。
「依頼をしても、無視されたり暴走されたりする」
「話が共有されてないのに、突然要望がきて、怒られる」
「社内での待遇が悪い」といったものです。

 会社全般をサポートするはずの管理部門が各部門に評価されず、管理部門自身も課題をかかえ、DXにおける管理部門の役割には問題があります。
 しかしながら、管理部門がどう変わったらいいか、どう変わっていきたいかというと意見は出づらいものです。

 DXといえば、全社的に改革に取り組む必要がある点には異論はないことでしょう。
 会社組織の役割で考えれば、全社横断にかかわる役割をもっているのは
管理部門であり、管理部門がDXに関わっていない、機能していないというのは、DXを進めるうえで大きなボトルネックを抱えていると考えられます。

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管理部門の役割とは?

 では、管理部門とは具体的に何をする部門なのでしょうか?ビジネスをしていく中で管理部門を経験しないまま、月日が経過することも多いものです。まず、管理部門の中の主な組織である、財務、人事、総務について解説します。

財務部門
経理業務:事業で発生した取引から決算書の作成、資金調達、金融機関からの借り入れ、増資等
財務計画の立案:収支計画の管理、管理会計、資金の管理、いざというときに会社が存続できる備え等
企業が存続成長する上で重要となる多くの役割があります。
また、財務をないがしろにすれば不正の温床ともなります。

人事部門
人という会社にとってもっとも重要なリソースを管理するための部門です。各社、人事制度も様々で守備範囲も異なりますが、人の採用、評価実施、評価制度の立案、運用、人事異動の管理、給与などの労働条件について取りまとめを行います。

総務部門
その他の部署では扱わないが、会社にとって必要な広範囲な業務に携わります。企業活動が継続、円滑に進むように落ち玉を拾っていくことになります。設備備品管理、安全管理、福利厚生、健康管理、社内イベント、法務業務やIR、社会貢献活動を兼ねることもあります。

 企業によっては広報や、情報システム部門が管理部門の中に含まれることもあり、企業文化、会社の成長フェーズや業態によって役割は変わっていきます。いずれにせよ、管理部門は、社長をはじめとする経営陣の戦略を推進するものであり、国にたとえれば、官僚組織のようなものとなります。

笛吹けども踊らず。

 従来の管理部門の役割を説明しましたが、DXにおいてどんな課題を管理部門はかかえているのでしょうか?

 DXを進める中で、過去の慣習にはとらわれず改革を進めていくと経営者は方針を出しますが、実際現場では、会議で決まったことが、実行されないことがあります。
 
 理由は諸々ですが、管理部門から、いままでの基幹システムで対応できないとか、その業務は我々の仕事ではない、検討する等々の理由で実行が止まっていることが散見されます。会議での合意事項っていったい何だったのか憤る社員もいますし、経営者は指示した気になっているものの、実情は違ってしまう形です。

 コロナ禍において、日本の行政が他国と比較して圧倒的にデジタル化が進んでおらず、政策を決定しても実行までに非常に時間がかかり、手続きが煩雑であったのが記憶にあると思います。
 企業においても国と同様のことが起きているわけです。

 問題の背景を、マインド、仕組みの両面から考えてみたいと思います。

 マインドの問題という点に関していえば、ビジネスの最先端ではデジタル化の波が押し寄せていて、従来のやり方では通用しない実態があります。危機感を醸成しやすいのですが、管理部門では急激な変化の動きが、日々の日常業務の中では、実感として持ちづらいということです。

 また、仕組みという点に関して言えば、昔は管理部門のほうから基幹システムや情報システムが刷新され全社に利用を促す流れになっていましたが、
今や現場部門が、SaaSサービスなどをそれぞれの部隊で活用し、管理部門が取り残される形です。
 ビジネスの時間軸が変わり、企業では、以前のように時間をかけて必要な要件をつめて、自社に適したものを作りあげていく余裕はなく、すぐれたビジネステンプレートをもつSaaSサービスを現場の実態にあわせながら連携させ、業務を再構築していく形が増えています。現場でトライアンドエラーがしやすいため、管理部門がタッチしなくても進んでいってしまい全社横断で対応すべき管理部門にナレッジがたまりづらくなっています。

 一方で、勢いのあるベンチャー企業のCFO率いる管理部隊では、積極的に資金調達、管理会計を実施し、時期に応じた、研究開発・マーケティングを促進しています。KPIの共有によって、実行したことが実を結ぶまでウォッチするとともに、時期にそぐわない投資については、財務的観点から将来へ本当に必要か疑問を呈する積極的財務も存在します。課題をかかえる管理部門とは雲泥の差です。

 管理部門が成熟していればいるほど、管理部門が現場部門から取り残されてしまう現象は起きやすく、変化への対応に遅れていきます。場合によっては変化によって、今の仕事がなくなる不安や、すでに良質なポジションを獲得しているがゆえ、長期目線ではなく短期的なメリットを追求し、抵抗勢力化することすらありえます。

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管理部門は受け身姿勢から積極的姿勢へ

 DXにおいて、企業は、多様性のある顧客に対応すべく、カスタマーサティスファクションから、カスタマーサクセスへと受け身から積極的な顧客への関与を進めていっております。
 管理部門についても、変化の激しい企業環境を乗り切るために、いままでの受け身姿勢から、積極的姿勢で社内・社外と関わり、サービスを提供していかねば、多様化し変化の激しい業務に適用できません。そして、エンプロイーエンゲイジメントが高くない会社は、顧客に対してのサービスレベルも低いことが統計的にでています。エンプロイーエンゲイジメントとは、従業員と企業とが相互に貢献して、成果をだすことで幸せな関係を築いていく関係値のことです。
 現状に満足していない人が顧客に対して良質なサービスを提供するというのは無理があるというものです。管理部門が、DXの荒波を乗り越えるエンプロイーエンゲイジメントが高い環境を作り上げていくことは急務であります。

 抵抗勢力化しないためにも管理部門のトップには、企業の将来を見据え、変革を担っていく人間が必要となります。すぐに管理部門のメンバーを必要としないシーンにおいても、管理部門のメンバーがDXの変革の検討に積極的に関与できるように、DXの推進チームに組み入れ、マインド共有し、経営も関心をもつことで、管理部門はDXのサポーターとなっていきます。

 そして、今回あげた問題の矛先が社長に向けられている企業が多いと思います。DXにおいて、社長をはじめ経営陣の役割は重要でかつ責務がありますが、しかしながら、社長だけでは負荷が高すぎるため、それを補うことができるのは管理部門であり、また、経営者の意向を必要とするとともに、反映されるべき部門です。

 意識されることの少ない管理部門ですが、全社を横断で支援できる部隊であります。やらされている立場から推進へ、プロフィットに貢献できる戦略的人事・財務・総務になっていく必要があります。

忘れてはいけない!DXのサポーターである管理なのです。

林 雅也
(株)ecbeing 代表取締役社長
(株)ソフトクリエイトホールディングス代表取締役副社長
一般社団法人日本オムニチャネル協会専務理事
全農ECソリューションズ(株)取締役

1997年、学生時代に、株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売をするとともに、インターネット通販の立ち上げ。1999年、ECサイト構築パッケージecbeingの前身であるec-shopを開発、事業を推進。EC構築パッケージメーカーとして、2005年大証ヘラクレス上場、2011年東証一部上場へ寄与。2012年、ホールディングス体制移行にともない新たに設立した株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。 2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウン運営およびふるさと納税支援事業実施。2020年、日本オムニチャネル協会専務理事。

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