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第4回 領域を超えて編集チーム力を発揮するため、まず自己否定から始めてみよう

アナログとデジタル、双方の自己否定なくして、
編集チーム力をあげるのは難しい(大久保)

 メディア文脈において、雑誌などのアナログチームとオンラインのデジタルチームがチームワークを組んで編集力を発揮していくために、踏まねばならないステップが1つあります。それは、自己否定です。アナログとデジタルが手を組んで編集していくときに、お互いが自分たちのやってきた領域を守るために、手をつなごうとするケースが多いようです。でも、その前に、目の前の現実問題を直視して、「私たちはこのままでは、ダメなんだ」という危機意識をしっかり持つことが大切かと思います。
 アナログメディアの人たちは、自分たちアナログのダメなところ、欠けているところ、デジタルには勝てない部分をきちんと認識すること。デジタルサイドの人たちも、デジタルに欠けていること、アナログには勝てない部分をきちんと認識すること。つまり、自分たちがやってきたことをきちんと自己否定し、お互いが欠けていること、足りないことを洗い出すプロセスを経てから、それを補うにはどうしたら良いかを考えてからでないと、1つのチームにまとまって最大の編集力は生まれません。つまり編集力やチーム力だけでなく、この2つを融合した編集チーム力が大切なんです。(大久保)

「0から1」を生み出す雑誌と「1を100」にするデジタルメディアは、実は相性抜群なんです!(大久保)

 オールドメディアサイドから話をすると、テレビ・新聞・雑誌・ラジオという4大メディアのうち、雑誌という分野では四半世紀に渡り、編集人やプロデューサーという立場で二桁以上の企画創刊、リニューアルを経験し、その数は日本一であります。そして、ヨガジャーナルやマデュロ、ソトコト始め、いろんな雑誌をオンラインメディア化してきました。その経験の中で一番感じるのが、4大メディアの中で雑誌だけが特殊だということ。
 テレビや新聞、ラジオはすでに起きていることを「報道」する立ち位置です。または、タレントや俳優、文化人など演者のパーソナリティを引き出すメディアで、視聴率、購買数などボリュームある数をリーチに商売をしています。一方、雑誌はそれに比べると、ターゲットを決め込んで、扱う企画や情報をニッチな層に向けて発信するニッチメディア、ターゲットメディアです。ネットでは検索できない「0から1の世界観を生み出す」コンテンツが武器です。例えば、レオンでは「ちょい不良(ワル)オヤジ」、オーシャンズでは「イクメンパパ」、ヨガジャーナルでは「ヨガ=ナチュラルビューティ」など新たなコンセプトを創造してきました。小黒さんが立ち上げた雑誌ソトコトのコンテンツも20年以上かけて新しい価値観を創造してきました。「ロハス」「スローフード」のキーワードが生まれ、今はそれを引き継いだ現ソトコト編集長指出さんが「地方創生」や「SDGs」に力を入れ「関係人口」という言葉を作り、国の施策、日本の未来ビジョンになっています。ネットでは検索できない0から1を生むコンテンツを作ってきたのです。そこが、1を100以上に広げる力を持つデジタルと補完し合い融合できれば、最大の編集力を生むと考えます。非常に2つは親和性が高いと感じます。デジタルがコンテンツの充実を考えた時、雑誌のコンテンツ力は頼れる存在なのは周知の事実かと思います。また書店の数やコンビニの雑誌スペースがどんどん縮小していく中、デジタルの伝える力、拡散する力が、雑誌コンテンツにとって必要不可欠なのは周知の事実。
 このように雑誌の編集は0を1にはできるけれど、デジタル社会において、それを拡散させることはできない。せっかく生み出した1を100の力にするには、デジタル活用はマストです。その際にきちんとデジタルと編集チームを組んだ連携が不可欠。雑誌はニッチメディアですが、あまりにも書店やコンビニの雑誌棚が減少しすぎて、雑誌を読まなくなってきている現代では、紙からの発信では商売にならない。でも、愛読者=濃いファン化はできている。一方で、デジタル側には、「100万人のアクセスを稼ぐよりも1000人のファン化が難しい」という部分があります。編集チーム力は、アナログ側の「デジタルの力を借りて、1000を100万に広げて、知ってもらわなくてはいけない」という考え方と、デジタル側の「100万人に伝えることよりも、ニッチなファンから構成される1000人のコミュニティがほしい」という、それぞれの自己否定から始まるのです。そこから、「1から100」をどうやって作っていくかというプロセスを踏めるはずです。(大久保)

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テクニックではなくコンテンツ勝負の時代がやってきた!(北野)

 「0から1」になったものを、さらに「100」に伸ばしたいと考えた時、大事なのはその方法です。前回、組織のチーム化について「ミッションやビジョンの共有が必要」という話をしましたが、それはメディアやサービスでも根底は一緒です。どういうミッション、ビジョンで誰の何を解決するのかが定まらないまま、「雑誌メディアが0から1を生んでカルチャーを作り、これからデジタルで1から100に持っていこう」とした場合に、数字の伸ばし方や拡散の方法を間違えると、伝えたかったコンテンツやメッセージが異なる形で伝わっていきます。
 デジタルメディア側からお話をしていきますと、まずはお互いがミッション、ビジョンを共有し理解した上で、雑誌コンテンツをデジタル化していく上で、雑誌が持つ濃いコミュニティや押さえるべきコンテンツをきちんと把握することから始めなければいけません。そして、数字を伸ばすなら、じゃあどういうふうにすれば、その雑誌の持つ世界観が正しい方向で伝わりながら数字を伸ばせるのかを考えることが、まさにデジタルシフトにおいて一番の重要ポイントです。
 アクセス数アップで言うと、まずSEO(検索エンジン最適化)を気にする人が多いと思います。確かに今まではテクニカルなSEO対策みたいなものがありましたが、今やGoogleのアルゴリズムは変わって、テクニカルなところだけではなく、つまり写真や文章を含めてコンテンツそのものを評価するようになっています。コンテンツがしっかりしていれば、テクニカルな部分が欠けていても、検索上位になるパターンが結構出てきています。共感によるTwitterやFacebook、Instagram等への投稿はまさに中身がしっかりしていることが必須です。もちろん、タイトル含めてのコンテンツですのでタイトルも大切ですが、それ以上に写真や文章、つまり中身で勝負するデジタル発信の時代になってきています。まさに今、デジタル側は従来のやり方を見直して、雑誌のコンテンツの作り方を学ぶべき時なのです。
 デジタルの人間は、ついGoogleのアルゴリズムを意識したSEO対策をしたくなりますが、誰に向けて何を発信しているのか、コンテンツ、コンセプトを再確認すべきでしょう。きちんと届けたい相手の方向を向いて、相手がきちんと満足し納得してもらえるように伝わっているか、コンテンツや情報を伝えるべき方向で伝えられているか、そこがデジタルにおいても、数字の良し悪しの分かれ目になっていきます。つまり、雑誌がアナログ的に本来から持っていたコンセプト作り、コンテンツ作りがデジタルにおいて、とても重要な時代になっています。(北野)

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第1回 なぜデジタルシフトの時代に「編集力」が必要なのか?(前編) 
第2回 なぜデジタルシフトの時代に「編集力」が必要なのか?(後編)
第3回 「編集力」の要となる 「チーム力」とは!?

大久保清彦(Kiyohiko Okubo)
雑誌LEON、OCEANSなどを企画創刊し創刊副編集長、創刊編集長を経て、セブン&アイ出版常務執行役員の後、独立。 現在は家族の幸せやSDGsなどをコンセプトに掲げるMADUROなどの雑誌とオンラインを率いるRRデジタルメディア代表取締役としてご活動中。 SNSやデジタルメディアを活用し、「地域、企業、組織の編集力」を高め、「伝える力」をつけるためのソリューションを追求中。
北野 博俊(Hirotoshi Kitano)
建築構造設計から教育系人材、不動産ベンチャーを経て株式会社ベーシックにてマーケティング部立ち上げを経験。現在、株式会社RRデジタルメディア取締役、また、傘下の株式会社fluxusにて執行役員、株式会社sotokoto onlineにて取締役及びオンラインディレクター、グループ全体のデジタルシフト、新規事業推進を担当。
◆twitter: https://twitter.com/hirotoshikitano
◆note: https://note.com/kitano_h

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デジタルシフトの時代に必要な「編集力」をつけるために
デジタルシフトの時代に必要な「編集力」をつけるために
  • 5本

RRデジタルメディアの大久保清彦氏が雑誌というオールドメディアで培ってきた「編集力」「取材力」と、同じくRRデジタルメディアの北野博俊氏が得意とするデジタルメディアの「伝える力」「広げる力」を、どうかけあわせて「コンテンツ」を立体化し最大効果を発揮できるのか、2人で話していきます。

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