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第8のレシピ お客様が美味しいと感じるセンターの作り方

 「新時代コンタクトセンター」のレシピは前回に引き続き「お客様が美味しいと感じるセンター作り方」と題して、最新のHDI格付けで3部門すべてにおいて三つ星を獲得した株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ(以下SPCC)の人材育成の取り組みを紹介します。デジタルシフト(道具の整備)が叫ばれるコンタクトセンターですが、料理の世界と同じで、作るのは人です。人材の育成は研修テキスト、スクリプト、商品やサービスのデータベース、FAQなど「形式知」化されたレシピと共に、お客様の真のニーズを会話からどうやって引き出すか?といった「暗黙知」の領域が重要になります。言語化しにくい「暗黙知」をどうやって醸成していくのかは全てのセンターが向き合わなくてはならない大きな課題です。つまり「暗黙知の共有」=「育成」というテーマにSPCCはどのように向き合ってきたのか?具体的な取り組みをお聞きします。

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坂田さん2 (1)

右:株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ
  品質保証統括部 坂田 直子 氏

 なお、SPCCではこのテーマでオンラインセミナーを開催します。下記のURLからお申込みください。

SPCC第1回オンラインセミナー 
HDI格付け3部門三つ星獲得!!「お客様が美味しいと感じるセンター作り方」
開催日時:2020年8月20日(木)15:00~15:50
開催形式:ZOOMオンラインセミナー(ライブ配信)
参加費用:無料(事前登録制)
講演者 :株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ 坂田 直子
     株式会社デジタルシフトウェーブ 出水 啓一朗
お申込み:http://www.spcc-sp.com/news/detail/seminar2020820.html

出水:
 前回に引き続きSPCCの品質保証統括部でセンターの品質改善に取り組んできた坂田さんに伺います。まず、「育成」と聞くと新人向けというイメージが強いのですが、SPCCではどのように行っているのでしょうか?

坂田氏:
 SPCCでは新人から、長年勤務を続けているベテランまで継続して育成を行っています。その中で、前回お伝えした「顧客視点」の考え方を根付かせ、醸成していきます。
 新人はまず、業務知識の習得からスタートしますが、この時から随時「お客様を考える」機会を設けます。

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 上の図はオペレーターが入社後、最初に受ける研修のテキストの1ページです。お客様を知り、すべての業務は「お客様にスカパー!を楽しんでいただくため」にあることを学びます。新人研修は、業務知識を学びながらも、「顧客視点」を育成する大切な場となります。
 応対品質に関しては、新人、ベテランを問わずQAをはじめとした管理者からのフィードバックが育成の主となります。
 新人にはまず、フィードバックに慣れてもらうことが第一です。「フィードバック=指摘される」というネガティブな印象ではなく、前向きにフィードバックを受け入れられる関係性を作ることを大切にしています。ここでの関係性構築は、新しい業務に就くことへの不安の払拭にも大きく貢献するため、非常に重要です。そのうえで、新人は特に「基礎をしっかり身につける」「褒められることで自信を持てるようになる」ことを大切にしたフィードバックを行います。
 ベテランになると、お客様応対にも個性が生まれてきます。この個性や、オペレーター自身が「どのようなオペレーターになりたいのか」を大切にし、オペレーターを主役にしたフィードバックを行います。お客様からNPSの回答とともに寄せられたコメントや自身の応対を振り返りながら、「顧客視点」での品質向上について考えます。新人、ベテランを問わず、一度のフィードバックや研修で劇的な成長を遂げられることはありません。管理者がオペレーターの成長に気づき、承認し、さらなる成長を促すことが最も大切です。これはフィードバックの場だけではなく、日々のコミュニケーションの中でも心掛けるべきポイントです。

出水:
 今、センターの人材不足が叫ばれています。このためオペレーターのモチベーション維持と成長は大事なテーマです。モチベーションとフィードバックの具体的なやり方についてもう少し詳しく知りたいのですが。

坂田氏:
 業務知識面では、入社時から順を追って応対できる範囲(スキル)を広げていきます。スキルの上位には、専門的な知識を要するお問い合わせへの対応や、お電話以外のチャネル(LINE、チャット等)の対応が位置付けられています。段階を踏んだステップになっていることで、次に目指すところが明確になると共に、自身の成長も感じられる仕組みです。

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 応対品質においては、お客様から寄せられるNPSのコメントが、オペレーターのモチベーション向上に欠かせないものとなっています。お客様からの感謝や労いといったお声はもちろんのこと、時折いただく厳しいお声についてもすべて本人にフィードバックし、今後の改善につなげていきます。ここで、NPSを活用したフィードバックについて、少し詳しくお話します。
 一人のオペレーターに複数のお客様から寄せられたNPSの回答を並べると、そのオペレーターの傾向が見えてきます。一方で、お客様からは「○○と感じた」とのコメントは寄せられますが、「何故○○と感じたのか」まで言及されているケースは多くありません。この「何故」の部分を明確にしないと、オペレーターは「褒められている理由」「改善しなければならない理由」が分からないため「今後どうするか」まで考えることができません。
 
たとえば、多くのお客様から高評価をいただいているポイントはそのオペレーターの「長所」と言えますが、オペレーター自身が自分の長所に気づいていない場合もあります。その時には「どのような応対がお客様に好印象を与えているのか」をフィードバックの場で紐解くことで、本人は自信を持ち、さらに長所を生かしたお客様応対を目指せるようになります。反対に厳しい評価をいただいた場合にも「何故このような評価をいただくことになったか」、音声を確認しながら、どのように改善をしていくか話し合い、次回までの目標を設定します。次のフィードバックでは目標が達成できているかどうかを、新たにいただいたNPSの回答をもとに確認するというPDCAサイクルを回していきます。このように、お客様からいただいたコメントから、長所や改善ポイントを探り、具体的な行動レベルまで落とし込みをしていくことが、フィードバックの場では最も重要な点です。
 なおSPCCでは通話録音に株式会社アドバンスト・メディアのAmiVoiceを使用しています。お客様、オペレーターそれぞれの発話内容がテキスト化されているため、重要なポイントとなる箇所を目で振り返ることで、フィードバックを効率よく進めることができます。

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出水:
 よく議論されるテーマに「効率」と「品質」の問題があると思うのですが、「育成」という視点でみたときどんなアプローチをしているのでしょうか?

坂田:
 「効率」と「品質」は相反するものと考えてしまうと、要求されるオペレーターはどちらか一方にしか進めないことになります。ただし、ここでも「顧客視点」を軸にして考えると「効率」と「品質」の双方を高める育成ができます。たとえば、「効率を上げるために通話時間を短くする」という指導では品質面が抜け落ちますが、「お客様にとって分かりやすいご案内をする」ことを目標とすれば、「説明力が向上する(品質面)」→、「お客様が一度のご説明でご理解くださり、無駄なやり取りが発生しなくなる」→「通話時間が短縮される(効率面)」と、すべてがつながってくるのです。
 また効率面での育成をする際には、どうしても「企業視点」になりがちなことにも注意する必要があります。「応答率を上げるため、通話時間を30秒短くしてほしい」ではなく、「通話時間が30秒短くなれば、次のお客様の待ち時間を30秒短縮できる」と伝えた方が、オペレーターは前向きに努力してくれます。こうした日々の積み重ねが「顧客視点」の醸成にもつながっていきます。
 前回「お客様を型にはめない」「お客様との会話を大切にする」といった「顧客視点」についてお話をしましたが、オペレーターの育成も同様だと考えます。
 「成長のスピード」や「やりがいを感じる瞬間」は千差万別です。「オペレーターを型にはめない」「オペレーターとの会話を大切にする」、いわば「オペレーター視点」をもって育成にあたることができれば、オペレーターは期待に応えてくれるはずです。

出水:
 企業がお客様に届けたい製品やサービスの情報量はデジタル化の中で確実に増加しています。しかし、製品やサービスに込めた企業姿勢やセールスマインドといった「暗黙知」はなかなか「形式知」に置き換えることができません。SPCの凄さは2か所のインハウス、3社のアウトソーサーのセンターでオペレーターの育成の仕組みがテクノロジーも含め全て統一されていることです。この取り組みの中で「暗黙知」が共有され、その一部は「形式知」へと書き換えられていくのです。

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出水 啓一朗 (Keiichiro Demizu)
1974年信越放送入社。2003年WOWOW常務取締役、2006年スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)執行役員常務、2009年同社取締役執行役員専務兼マーケティング本部長を経て、2011年スカパー・カスタマーリレーションズ代表取締役社長に就任。2019年6月同社退任。

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