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第2のレシピ クラウドCRM実装レシピ Salesforceその1

 Cloud CRMの代表格といえばSalesforceの「Salesforce Service Cloud(以下、Service Cloud)」です。私はSPCC(スカパー・カスタマーリレーションズ)時代に「Service Cloud」を導入しましたが、当初考えていた以上に簡単ではなかったという実感がありました。多くの企業が導入もしくは導入を検討しているのですが、どこに課題があるか?Salesforceで長年、導入を推進してきた谷川さんがそのレシピを寄せてくれました。全体設計から個別の課題まで2回に分けてお届けします。

谷川さん写真

株式会社セールスフォース・ドットコム
Service Cloud第一営業部 
部長 谷川 尚之

 新型コロナの状況は刻々と変化しており、お客様やパートナー様、そして従業員の皆様は平時にはない様々な対応を実施されているのではないかと想像いたします。一方で、在宅勤務などにより、日常ではなかなか出来にくかった『現状のオペーレーションを振り返ること』、『将来においてのあるべき姿を想像すること』など、じっくり考える時間が出来た方も多いのではないでしょうか。
 今回は私、セールスフォース・ドットコムの谷川が、現在のコンタクトセンターにおけるCRMの市場背景やトレンド、そして今後どのような事を意識して考えれば良いかをシェアさせていただき、皆様のビジネスを考える上での一助になればと思っております。
 CRMの考えやテクノロジーが世に出てから約20数年経っていると思いますが、ここ数年全世界的に企業のCRMに対する期待値は非常に高まっていると感じております。最近あらためてその原因は何かを考えますと、きっかけはDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)の波がそうさせているものと感じざるを得ません。従来のやり方のみでお客様とのエンゲージメントを維持する事は困難となり、テクノロジーを使い今まで以上にお客様に喜ばれるサービス、良い体験を提供した会社が選択される時代になってきました。企業は今後の成長するにあたり、「お客様が企業のサービスに合わせていた」から「お客様の多様なニーズを理解し、企業が合わせる」ことに対処していく必要があります。 CRMを導入するにあたり、お客様に喜んでもらうには、どんな体験を提供すれば良いか、それによりCRM導入後のお客様が、貴社のサービスやブランドを喜んで活用している姿を想像していただきたいのです。 このような背景から、「今後のCRMにはどんな事が求められるか?どんな実装をしていけば良いか?」なのですが、これにはいくつかポイントがあります。ともするとCRMに顧客データを蓄積すれば解決すると思っている方が意外と多いからです。
 CRMを導入するにあたり、お客様に喜んでもらうには、どんな体験を提供すれば良いか、それによりCRM導入後のお客様が、貴社のサービスやブランドを喜んで活用している姿を想像していただきたいのです。システム導入でありがちなのは、現状の仕組みに囚われ、機能やディテールから着手してしまうことです。リリース後に期待通りの成果に繋がらず、何を変えるために導入したシステムかを見失ってしまうことになります。
 CRM実装で成功ポイントの1つ目は、「お客様の体験をどう変えるかという意識やイメージを持つこと」です。

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 2つ目のポイントは、「お客様との全てのタッチポイントを把握し、その情報はCRMに統合すること」です。一般的にコンタクトセンターを業務観点で見ると、電話やメール、チャットなどお客様と直接接するチャネルと、FAQや会員ポータルなどセルフサービスのタッチポイントがあります。更にお客様の体験ベースで考えると、B2Bであれば営業マン、B2Cであれば店舗の店員なども重要なタッチポイントです。お客様に喜んでいただく体験を提供するという観点でいけば、バラバラなアプリを駆使して応対するのではなく、CRM上に全てのタッチポイントの情報を統合しシングルビューでスマートに応対することが求められます。どの企業にも負けない次世代のコンタクトセンター運営において、この観点は欠かせません。

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 3つ目のポイントは、「コンタクトセンターで働くエージェントや管理者の方々に優しい仕組みを追求すること」です。最近、エージェントの定着させるのが難しい、離職率が高い、採用難で困っているといった話をよく聞きます。その原因のひとつは、多数のアプリケーションを駆使しての応対や、システムが連携されていないため、そこを埋めるべくエクセルワークや紙の業務が発生し、その煩雑さに耐えられないことが多いのです。この状態では多数のお客様情報を把握して、お客様に喜ばれる体験を提供できる次世代コンタクトセンターは夢のまた夢になってしまいます。Customer Experience3.0を提唱した有名な米国のグッドマンも、「従業員が疲弊している状態では、お客様に喜んでいただく体験を提供することは難しい」と述べています。SalesforceのService Cloudでは、コンソールの中に知識情報を表示するナレッジ(社内FAQ)やマクロ(SalesforceのRPA機能)、そして次に何をやれば良いかお勧めするAIなど、エージェントを支援する機能が搭載されています。

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実際、日本におきましても某通信企業様がバラバラで管理されていた情報やナレッジをService Cloudで一元化したことで、サポートスピードが3倍改善、加えてエージェントの定着化に貢献したという事例があります。
 4つ目のポイントは、「コンタクトセンター以外の部門の人や情報とシームレスにコラボレーションできる環境を作ること」です。その理由として、お客様の体験をよくするためにはカスタマージャーニーの要素が重要だからです。現在企業は収益向上のため、お客様にマーケティング部門がメールやLINEなどを使い認知やプロモーション活動を、営業部門であれば営業支援ツール(SFA)を使いお客様に対する活動を、そしてEコマースのシステムでの注文履歴などを蓄積しています。お客様に喜ばれる体験を提供するにあたって、これからのコンタクトセンターのCRMはその情報を一元的に把握し、応対することが非常に重要です。自分の事を深く理解してくれている事が信用やファン化に繋がるからです。例えば、キャンペーンメールの送付履歴、Eコマースでの注文履歴を分かった上での応対が重要となるのです。日本におきましても、EC系通販企業のコンタクトセンターにおいて、お客様に寄り添った対応を目指し、キャンペーンメールやカートの中身の情報をService Cloudで統合し、ご利用いただく事例も出てきました。お客様ロイヤリティ向上観点で、同様の事例は増えていくものと感じております。
 以上、四つの実装にあたってのポイントをご紹介しました。

 次回はこの全体像を踏まえたうえで、「第3のレシピ クラウドCRM実装レシピ Salesforceその2」と題し、いざ実装となったときに突き当たる壁について、そのティップスを谷川さんと出水の対談形式お伝えします。

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出水 啓一朗 (Keiichiro Demizu)
1974年信越放送入社。2003年WOWOW常務取締役、2006年スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)執行役員常務、2009年同社取締役執行役員専務兼マーケティング本部長を経て、2011年スカパー・カスタマーリレーションズ代表取締役社長に就任。2019年6月同社退任。

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