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第4回 BYODで可能になる、画像を活用したリモートマネジメント

画像(映像)x BYODは相性がいい

 そもそもリモートによる店舗マネジメントを行うには、当然ながら人間の「目」に当たる「画像」が不可欠です。画像を確認することによって、マネジャーはその場にいなくても売り場の状況を知ることができ、具体的な指示が出せるようになります。今回は、画像を活用したリモートマネジメントについて2つの事例をご紹介したいと思います。
 1つ目は、日々の売り場ごとの売上目標を達成するようスタッフに意識づけるための取り組み、2つ目は、クラウドカメラの画像を通して、遠隔でもリアルタイムに指示を出せるようにする実験です。それでは、詳細を見ていきましょう。

事例1 「売り場自慢」で意識改革とノウハウ共有

 ある大手スーパーで「売り場自慢」という取り組みを行いました。スタッフは自分の整えた売り場を自身のスマホで撮影し、その画像と共に当日の売上目標を宣言し、弊社のアプリ「はたLuck®︎」上で共有します。その投稿に対しSVや店長から、売り場の出来栄えを5段階評価でフィードバックしてもらい、営業終了後に売上結果を報告するという一連の流れを毎日繰り返しました。アプリ上の投稿は、他のスタッフも全員見られるようになっているので、SVや店長からの評価とフィードバックは全スタッフにとっての学びとなり、売り場作りのレベルの底上げにつながりました。また、より「売上」という結果も意識することにより、商売の楽しさを実感することができているそうです。売り場の作り方によって、売上が変わってくるという商売の原点を、ゲーム感覚で体験でき、店舗全体、エリア全体で取り組むことで、仕事を楽しみつつ、エリア全体の売上向上に寄与することができました。

「売り場自慢」の投稿例

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事例2 複数店舗のリアルタイム・リモートマネジメント

 もう一方のクラウドカメラ活用事例です。同じく大手スーパーの複数店舗で生鮮3品の売り場にクラウドカメラを設置し、売り場全体が見えるように広範囲の画像を24時間撮影しました。スタッフは店舗共通のタブレットから、店長や社員は自身もしくは会社支給のスマホからカメラの画像を確認できる仕組みになっています。
 重要な時間帯には売り場の状況をスマホで確認し、リアルタイムで指示を出すことが可能になったのはもちろん、SVとエリア内の複数の店長の間では、売り場全体の俯瞰した映像から、売り場コンセプトやクロスセルなどの情報交換に活用していました。チラシ掲載の特売品を置いている売り場と他の売り場の調和がとれているか、お客様の反応はどうかなどを確認し、すぐに売り場の改善に役立てることができました。
 また、POPや売り込み方が良いお店の画像を切り取り横展開することで、商品政策の見直しや売り場の修正を日次・週次単位でできるようになりました。
 SVにとっては、画像や音声といった一次情報をすぐに管轄店舗に横展開することで、エリア全体での売上の向上に寄与できたことや、臨店業務の効率化にも繋がったそうです。気になる店舗の売り場をリアルタイムで確認ができるので、臨店のための移動時間を削減し、同時に複数店舗の売り場画像を比較することで、修正ポイントをすぐに店長に指示をすることも可能です。カメラの画像が「目」になり、スマホによるコミュニケーションが「口」や「耳」になり、現場の店長や社員、売り場責任者(アルバイト)のスマホに直接指示を出せるようになる。それはつまり、SVや店長がリモートマネジメントをすることができるようになったと言えます。BYODだから可能になることなのです。

複数店舗をリアルタイムで比較できる画像例

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現場の画像を本部が有効活用できる

 事例2の取り組みから得られた画像を本部の商品部で比較・分析することで「商品が売れた/売れなかった理由」や「キャンペーンの成功・失敗の理由」などの仮説を導き出すこともできます。また、キャンペーン時の棚割やPOP展開、クロスセルの仕方など、「インサイト」を得ることができると考えられます。またその「インサイト」を販売マニュアルの作成や、スタッフ教育に生かすことが可能です。
 新しいマニュアルの共有やスタッフ教育もBYODを活用することで早く、容易になります。スタッフを集めて教育する時間とコストの大きな削減につながります。

 このように、BYODの活用は、大掛かりなシステム投資をしなくてもスタッフの手元にタイムリーな情報を届け、学習してもらい、すぐに販売強化に結びつくDX手段のひとつとなるのです。

画像を使ったリモートマネジメントの構造整理

 カメラ画像を活用したリモートマネジメントをまとめると、以下のように構造化することができます。

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 横軸は時間軸(日次・週次・月次)縦軸は空間軸(本部・店舗)とします。
日次は事例1の店舗内の「売り場自慢」、週次は事例2のSVと店長間の売り場施策の変更など、月次は本部商品部とSV・店長間の商品政策やマニュアル、教育の実施になります。このように整理すると、カメラ画像を活用した店舗内だけでなく、本部ー複数店舗間のリモートマネジメントの実現が可能になることが分かります。
 カメラ画像とBYODを組み合わせることで、このように日次・週次での改善が可能になり、売上向上を後押しすることができます。これまでのような月単位の店長会議等でのPDCAマネジメントに比べ、BYODを用いたリモートマネジメントは、投資対効果が高い施策になると言えるのではないでしょうか。

★過去のこの著者の連載
第1回 サービス産業のデジタルシフトを目指して
第2回 BYOD活用における情報漏洩問題について
第3回 サービス産業の「収益構造」から考えるBYOD活用
第5回 BYODアンケートから見えてくる、スタッフの本音

ナレッジ・マーチャントワークス株式会社 代表取締役 染谷 剛史
1976年 茨城県生まれ。1998年 リクルートグループ入社、中途・アルバイト・パート領域の求人広告営業に従事。2003年 株式会社リンクアンドモチベーション入社(東証1部上場)、大手小売・外食・ホテルといったサービス業の採用・組織変革 コンサルティングに従事。2012年 執行役員就任、新規事業開発(グローバル事業立ち上げ、健康経営部門の立ち上げ)を経て、サービス業に特化した組織人事コンサルティングカンパニー長。2017年 ナレッジ・マーチャントワークス株式会社を設立、代表取締役に就任。
◆店舗改革プラットフォーム「はたLuck®️」 https://hataluck.jp/
◆染谷代表のブログ「SWX総研」 https://kmw.jp/column/

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