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第1のレシピ クラウドCRMの作り方

 コンタクトセンターでも「オムニチャネル」という言葉をよく耳にします。実店舗、EC、営業、卸、カスタマーなど、企業内での組織やデータ統合を意味する「オムニチャネル戦略」とは少し異なり、コンタクトセンターではお客様の接点でのマルチ化を言います。しかし、まったく別の概念ではありません。かつては電話という限られた顧客接点しか持たなかったカスタマーセンターですが、今やメール、LINE、チャット、SMSなど様々な手段による顧客接点の多様化が進行しています。加えてMA(マーケティング・オートメーション)や機械学習によるターゲティングDM、更には実店舗でのマーケティング戦略と密接な連動が必要とされているからです。

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 企業と顧客とのコミュニケーションは、さながらホテルのレストランのビュッフェのようです。どのチャネルを選ぶかはお客様次第です。企業はお客様がどのチャネルを選んだとしても快適なサービスを提供しなければなりません。フレンチ風、中華風、和食、デザートを取り揃え、加えて生野菜、温かい料理、冷えたドリンクなど適切な形で提供し、且つ美味しさが求められます。

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 このマルチチャネルに対応する道具がクラウドCRMです。もちろんオンプレのCRMでも機能は変わりませんが、新たなデバイスやサービスが次々に登場するこの時代では、入れ替えが容易なクラウド型にメリットがあるのです。
 現在、製品として多くのコンタクトセンター向けCRMが提供されています。Salesforce社の「Service Cloud」、Zendesk社の「Zendesk Support」、テクマトリクス社の「FastHelp」など、それぞれセンター規模に合わせて導入が可能です。今回のレシピはその機能の紹介ではなく、よく耳にする「クラウドCRMは入れたけれど・・・?」という問いへの答え(レシピ)です。そのため「顧客情報や履歴の管理」「検索機能・情報共有機能」「CTI連携」「セキュリティ」などの機能は実装可能であることを前提とします。しかし、それらを実装していく過程で立ちふさがる課題と、機能はあるがなぜワークしないのか?という点に絞ってお答します。

 多くの場合、コンタクトセンターの顧客応対に必要なシステムは企業がオンプレで開発したCRMやERP(基幹系情報システム)を拡張する方法で構築されてきました。しかし、こうしたシステムはお客様とのコミュニケーションのために開発されたものではないのです。ですから、契約内容の処理や請求系の作業には向いているのですが、お客様の様々な要望に適切に応えるためには「ひと工夫」が必要になります。
 つまりその企業の製品やサービスのビジネスモデルを的確に把握し表現することが求められるのです。よく目にするビジネス・フロー図の理解が欠かせないのです。そしてこのフロー図を言葉(テキスト)として表現できる能力が必要となります。ここが重要なレシピです。

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 このよく見かけるビジネス・フローをCRMへ定着化しなければならないのですが、ここで問題が発生します。そもそも、ビジネスモデルは企業の製品やサービスを売って儲ける仕組みそのものです。ですからこの業務設計は発注元であるクライアントが精通しています。ところがCRMを構築する製品発売元やインプリを担当する企業にとっては、そのビジネスモデルが謎に満ちたものなのです。更に事態を悪化させるのはクライアントにとってCRMの仕組みそのものが理解しにくい点です。このためお客様に最も近いコンタクトポイント=センター現場へ、すべてのしわ寄せが押し寄せるのです。業務に精通したクライアント企業の営業担当やマーケティング担当は当然のように業務フローが間違いなく流れると想定し、引き受けたベンダーやコンタクトセンターの担当者は「たぶんこれで良いのでは!」と考え、システム設計、更にはオペレーションのためのナレッジを実装していきます。その結果「クラウドCRMは入れたけれど・・・?」というつぶやきが起こるのです。

 今日のレシピは「経営者を含むビジネスを推進する発注元であるクライアント企業は、ビジネスモデルを可視化し、発注先企業に伝えなければならず、受注した企業は発注元のビジネスモデルを徹底的に学ばねばならない」ということです。CRMを構築する料理人はどのくらい手を加えれば美味しくなるかを知りぬいており、無駄な手は加えずに最良の料理をつくるレシピを知る必要があるということです。

 次回は、まさにその当事者の一人、クラウトCRMの代表格であるSalesforce社の担当の方に登場いただき、より具体的な「How(レシピ)」をお届けします。
 コロナ・ウィルスの影響で集合研修やセミナーがほとんど中止となっています。「次世代コンタクトセンター構築10のレシピ」ではクライアント2~3社限定のセッションを予定しております。ゆったりとしたスペースで個別の質問に専門家を交えて回答する、課題解決型のセッションです。今回は「クライアントのための、クラウドCRM実装レシピ」と題し、4月~5月に予定しています。改めて本ページにてご案内いたします。

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出水 啓一朗 (Keiichiro Demizu)
1974年信越放送入社。2003年WOWOW常務取締役、2006年スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)執行役員常務、2009年同社取締役執行役員専務兼マーケティング本部長を経て、2011年スカパー・カスタマーリレーションズ代表取締役社長に就任。2019年6月同社退任。

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