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第3回  失敗しないデジタル推進体制のつくり方とは?

 デジタルシフトの推進は、経営者が決意を固めたら、次は実際に推進する推進体制の構築になります。この推進体制の構築次第でデジタルシフトの成功、失敗が決まってきます。今回は、デジタルシフトを推進するための推進体制のつくり方についてお話していきます。

デジタルシフトの失敗原因は「体制」が多い

 私たちは、企業のデジタルシフトをご支援していますが、それらの企業の多くは、既にデジタルシフトに取組んだ経験をお持ちです。「何度か挑戦してはいるけど、なかな上手く進まない」とご相談をいただくことがあります。私たちはまずその過去の取組みのお話を伺いますが、失敗の理由の多くは、体制づくりが不十分なまま進めてしまっていることが多くあります。

失敗する推進体制のケース

失敗する推進体制には、下図のように大きく5つのケースがあります。

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 まず一つ目は、トップが「デジタルシフトするぞ!」と側近部門に丸投げに近い形で任せてしまうケースですが、兼任で経験の無いことを進めるのは至難の業で、どうすすめるべきか色々な人と会い話を聞いたり、自部門内で打合せしをしたりと、ただ時間ばかりが過ぎてしまうケースです。
 二つ目は、最近流行りのデジタル推進部、新規ビジネス準備室と部署をつくり各部から人を集めて推進しようとしますが、やはりノウハウ不足で、社内で連日会議を重ねても、同じ会社で同じ育ちの人が話し合っていますから、斬新なアイディアも浮かばず停滞してしまうケースです。
 三つ目は、IT部門に任せきりのケースですが、彼らはシステムから考えていきますから、結果、たくさんのシステムツールを導入し、現場は仕事が増えてしまい、現場を複雑化させてしまうケースです。
 四つ目は、外部の知恵を入れようとコンサル会社に丸投げしてしまうケースですが、コンサル会社は調査能力・事例提示はしてくれますが、意外と業務経験、システム経験に乏しく、膨大な資料を作成してくれますが、実現困難であることが多く、それらに翻弄され迷走してしまうケースです。
 最後、五つ目ですが、システム会社に丸投げしてしまうケースです。確かにシステム会社はシステムのプロですが、デジタルのプロではなく、顧客の要件から確実にシステムを作り上げることることのプロなのです。結果、要件が決まらず時間と費用がどんどん膨らんでしまうケースです。
 これらのケースは、今、現実に日本企業に起こっている問題であり、その原因は「体制」が不十分なまま進めてしまっているからなのです。

デジタルシフト三役の決定

 推進体制を構築する際には、まず核になる三役(3人の責任者)を決める必要があります。一人目は全体を総合的に推進する責任者、二人目は業務改革の責任者、そして三人目はシステム推進の責任者です。全体の責任者はもちろん社長、業務改革の責任者は経営企画もしくはマーケティング担当役員、システムの責任者は情報システム担当役員であることが望ましいと思います。この3人が各々の役割を認識し、三位一体で推進することがデジタルシフトをより高い確度で成功に導くことができます。
 しかし、多くの日本企業では実現は困難な場合が多いと思います。理由としては、現業が忙しく、デジタルの知識が不足していることが多いからです。IT会社でない限り、三役に時間がなく、デジタル知識が無いのは当たり前のことです。その場合は、デジタル推進責任者(CDO : Chief Digital Officer)を任命し、デジタル推進体制を構築していくと良いでしょう。

成功するデジタル推進体制のつくり方

 成功するデジタル推進体制を構築するにはどのようにすれば良いのでしょうか。私自身、自ら推進責任者として推進し、成功も失敗もした経験から、推進体制のつくり方をお話させていただきます
 デジタル推進体制は、デジタル推進責任者を任命し、経営者、事業責任者、システム責任者の中心に位置づけ、配下に推進チームを設置します。

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 推進責任者の任命は、経営者が決定することが大切で、経営者が一番信頼できる人を任命し、任命後も後ろ盾となり、事業/システム責任者を協力させることが必要です。任命する責任者がスキル不足の場合も心配する必要はありません。改革経験を持つ外部サポータをつけてあげれば良いのです。
 次に推進チームのメンバー選定ですが、メンバーは全社員を対象とした立候補制が良いと思います。理由は、改革を進めていくと、時には今までの仕事を否定する場面もあり、メンバーの自発的なモチベーションがこれらを突破する力となってくるからです。また、選定においては、全社の様々な部署から選び、メンバーには部署の代表者の意識をもたせることによって、多様化した推進体制を構築することができます。さらに新しい風を吹かせるためには、外部からも参加させることも有効です。
 このように、慎重にデジタル推進体制つくることは、とても重要であり、デジタルシフトを成功に大きく影響してきます

外部サポーターの選び方

 社内のデジタル推進体制が決まったら、最後に外部サポータ―の選定です。自社で経営改革、業務改革、システム構築の経験がある会社、人材がいる会社は、自社だけで進めることは可能ですが、そのような会社は多くはありません。自社のリソース、自社の強み・弱みを意識して、外部サポーター(パートナー)を活用していくと良いでしょう。パートナー会社のサポートスキルは、会社によって異なります。有名企業や大手企業だから全てができる訳ではありませんし、意外と改革実務経験が無い人が多いものです。安易に丸投げしてしまうとコスト、時間ばかり膨らんでしまうことが往々にしてありますので気をつけてください。

図3

 もう一つ気をつけたいのは、デジタルシフトは継続する改革であるということであり、自社にノウハウが残るサポートを提供してくれるパートナーであるかという点を考慮してパートナー選定をすると良いと思います。

 次回からは、デジタル推進チームが具体的にどのように改革を進めていけば良いかというお話を進めていきたいと思います。

第4回につづく

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鈴木 康弘(Yasuhiro Suzuki)
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任。
著書: 「アマゾンエフェクト! ―「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか」 (プレジデント社)  

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